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2008年9月21日 (日)

物語(2) 生きる目的/自分の可能性

生きる目的?そんなことはこれまで考えたこともなかった。
それにしても不思議なおじさんだった。買い物は105円の鶏ガラと29円のモヤシだけあれで何を作るつもりなのだろう?

どうも気になって、それから何度かおじさんと出逢った時間にそのスーパーに行ってみた。何度目か、そのおじさんとまた出逢った。
幸い、おじさんも僕のことを覚えてくれたようで、「よう元気か?」と話しかけてくれた。
「この前もらったブイヨン、初めていれてみたけどうまかったです。」
「そう、それは良かった」
「でも、おじさんはこの前。モヤシだけ買っていたのを覚えています。それでうまいものが作れるかどうか、ずっと気になっていたんです」

それからおじさんとの会話が続き、おじさんが加藤という名前だと自己紹介してくれて、最終的にはおじさんの家でモヤシの料理をごちそうしてくれることになってしまったので遠慮なくお邪魔することにした。

おじさん、いや、加藤さんの家は僕のアパートの部屋とあまり変わらないような6畳1間で狭いキッチンと風呂場・トイレがあるだけのアパートだった。その狭い部屋に本棚だけは3つもあり、宇宙とか、プレアデスとか、死後世界とか、エドガー・ケイシーとか僕がほとんどきいたこともないタイトルの本がずらっと並んでいたのに驚いた。僕の本棚は1つで週刊誌やコミックがほとんどだったりするのに。

一体、どういうおじさん、いや、加藤さんなのだろう?

そう思っていると加藤さんはモヤシの根と葉を一つずつ丁寧に取り始めた。
「ミカンはそのままでは食べられない。皮を剥かないとね。モヤシも同じだよ。
こうして食べるとごちそうになるよ」
全部の根を取り終わると、加藤さんは慣れた手つきでモヤシを炒めた。

そして僕に「さあ、食べなさい」と」差し出してくれた。
・・・「美味い!」
僕は生まれて初めてモヤシを美味しいと思った。

僕はますます加藤さんに興味を持った。
50歳くらいのおじさんがこんな狭いアパートで暮らすにはそれなりの理由か人生経験があったのだろう。
「加藤さん、聞いても良いですか?」
「ん?」
「今、お仕事は何をされているんですか?」
「用務員みたいなものかな。」
僕の用務員のイメージは学校にいたときの用務員さんだった。
でも加藤さんはそれとは違うような気がする。
どう言えば良いのだろう?とあれこれ考えていると加藤さんが僕に聞いた。
「君の仕事は?」
--僕はここ3年くらいはずっとアルバイトみたいなことをして食っています。
「それで今、幸せかな?」
幸せかどうかなんて考えたことない。とりあえず親に負担をかけないで暮らせているだけだ・・・
誰にも迷惑をかけていないのだから文句はないだろう。
そう考えている僕の気持ちを見透かすように加藤さんは言った。
「今、どんな仕事にでも就けるとしたら何になりたい?」
--うーん、社長とか弁護士とか医者かな?
「だったらなれば良い。社長なら一人から始められる。有限会社なら法律の条件をクリアすればすぐに社長になれるよ。
本当に弁護士になりたいなら司法試験を受ければ良い。医者になりたければなればいい。君はそのために何をしたのかな?」
単に思いつきで応えたのがそういう回答になると思わなかった。僕はそんなに簡単な言い方は他人事でおかしいと思った。
「だって、僕は高校しか出ていないんです。学歴もないのに医者や弁護士になれますか?」
--司法試験は大卒だけに受験資格が制限されていない。1次試験は一般教養だから大卒は免除されているが、高卒でも1次試験から受験すれば良い。ただ、大卒なら1次試験を免除されて有利なだけで門戸を閉ざされているわけではない。
大学を卒業せずに医者になりたければ、まず日本のように学歴制限のない外国で医師資格をとってからであれば日本の医師国家試験を受験できる。」
うーむ、僕が簡単に考えていたのより奥が深そうだ。でも学歴によって制限されている職業はあるよ。
--弁護士とか医師は大学出ていなくても良いとして、学校の先生なんかは大卒じゃないと駄目ですよね?
「小学校の教員は小学校教員資格認定試験で合格すれば教員免許が取れる。それで教員になっている人も多いよ。特殊学校教員も国家試験がある。大卒でなくてはいけないというのは君が自分の可能性に勝手に制限を設けているだけだよ。
--小学校とおっしゃいましたが、中学や高校の教師はやはり大卒じゃないと駄目ってことですよね?
「まず国家試験で高校免許を取得する方法として、珠算や柔道などがある。他の教科で高校教員免許を取りたいならまずは
教育職員免許法特例法を調べてみればよいだろう。例えば学歴に関係なく、第1級無線技術者の免許を持っていれば高校の「職業指導」という教科の免許が取得できる。それだけでは使い物にならないとすれば、それを足がかりに通信教育でも大学で必要単位を取得すれば他の教科の免許も取れる。

そういう世界があったのか・・と僕は思った。
これまで高校の先生なって大学を出ていないといけないと思い込んでいた。
加藤さんが教えてくれた方法なんて誰も教えてくれなかった、というより身近にいた人の誰も知らなかったのだろうし、僕も誰にも聞いたことがなかっただけなのかも知れない。
じゃ大学を卒業していないとダメというのは幻想だったのだろうか?
でも就職試験とかでは大卒限定もあるし・・・
いろいろ考えていると加藤さんは先ほどの質問をもう一度繰り返した。
--今、どんな仕事にでも就けるとしたら本当は何になりたい?そもそも学校の先生とか医者というのはさっきの思いつきだっただけだろう?君はどんな人間になりたいのかな?
そう聞かれて「ひょっとしたら自分の可能性を制限しているのは自分なのかも知れない。」と一瞬思った。
僕は即答できないかったし、加藤さんも、”ゆっくり考えてみれば”といった表情だった。

--また時間があったら遊びにおいで
という言葉に甘えて僕は加藤さんのケータイ(というか加藤さんはケータイは高いからとPHSしか持ってなかった)の番号を聞いておいた。

質問
「今、どんな仕事にでも就けるとしたら何になりたい?」

「君はどんな人間になりたいのかな?」

これまで考えたことなかったような気がする。

また僕が突っ込まれるにしても、上の質問に自分なりの答えを出せたら加藤さんに連絡してみようと思う。

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