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2008年10月15日 (水)

物語(8)--新しい世界

「まずは電気室と機械室に案内しようか」と加藤さんが言った。
電気室へ行く途中に玄関ロビーがある。
「あ、ダウンライトが切れている。後で倉庫を教えるからFDL27EX-Nを持ってきて交換しておけるか?」
--はい。
電気は確かに設備の仕事だ。なるほど、電球の交換もするわけだ。
「あの車椅子、パンクしているな。自転車と同じだけど、パンク修理したことある?」
そういうのも用務員、いや設備の仕事だから”用務員みたいなもの”というわけだ。
廊下を歩いていると点字のシールが落ちていた。
「ここの点字の案内シールが剥がれたんだ。点字は知らないよね?」
そんなことまで仕事??うーん。
「あとで点字を教えるよ」
アルバイトの僕は覚えるつもりはないのだけど・・・

老人福祉部で一人男性のお年寄りに呼び止められた。
「加藤さん、今日はどう?」
加藤「昼休みなら大丈夫かな?」
僕には何のことだか判らない。それを察したように加藤さんが説明してくれた。
「あの人とは時々、囲碁をやっているんだよ」

障がい者福祉部の部屋の前では、書籍リーダーのトラブルらしく、職員が加藤さんを呼び止めた。
加藤「また調子が悪いの?あとで直しにくるよ」
書籍リーダーとは本をスキャナーで読み込むと、そのまま音声になって読んでくれるソフトらしい。
最近では目の見えない人もそうやって本を読むことができるようになったようだ。
加藤「でもな、(-_-;)とか(*^_^*)のフェイスマークとかは”ひだりカッコ・ハイフン・・・”なんて読むから意味がわからないんだよ。」
なるほど。
そのとなりにあるのが点字ディスプレイ。
点字専用のファイルを読み込むと、ページごとに点字の6点の凸凹が表れ、点字で文章ファイルが読めるらしい。
「それがディスプレイ」の本当の意味だな。」

児童福祉部の前を通ると、僕まで呼び止められた。
「おじさん、今日遊べる?」
--おじさん??俺が??
加藤さんは笑いながら言った。
「あとで時間はあるから遊んであげれば」
--あとでね。
僕は言った。
「加藤さんもあとで勉強教えてね」
加藤「今日は割り算の続きをやるか?」
「うん」

っていうか、加藤さんの仕事って用務員みたいなものってはずだったけど、パソコンや車椅子の修理は判るにして
--子どもの相手とか老人の囲碁相手も仕事ですか?
「仕事というか、趣味というか、とにかく色々なことをやるんだよ」

案内してくれるはずの機械室にたどり着くまでに30分もかかっていた。

ともあれ、僕には珍しいことだらけで、今日だけで辞めるということはなさそうだ。
知らない世界を見ることができるのも面白いかも知れない。

--続く

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